architect:Takeshi Kobayashi 


 静寂閑雅(せいじゃくかんが)。静かでひっそりとしていて、みやびやかな風情のあるさま。計画地を初めて訪れた時に、そんな住まいを提案したいと思った。
 サザエさんで有名な世田谷区桜新町。商店街からワンブロック裏手の計画地であるが、駅に向かう歩行者が多い前面道路である。都市に対して開き過ぎず閉じ過ぎずのバランスが重要と考え、住宅の主たる場の廻りに中間領域(バルコニーやポーチ)を設けレイヤー構成を取り入れたプランとしている。この中間領域がある事により静寂を得る事が出来る。このような提案を気に入ってもらい設計はスタートした。
 提案時、ゾーニングや考え方には共感を得ていたので、設計中はスケール感に細心の注意を払っている。外部と中間領域、中間領域と内部という様に2重の壁により空間を仕切っているので、その壁の開口寸法や奥行、天井高さなど、連動するスケール感がバランス良く感じるのはどの様なバランスか。人によって回答は違うかもしれないが、私的に納得のいくバランスを求め何度も検討を行った。

外部に対して生活が少し漏れ出て住まい手のアイデンティティーが都市を構成する要因の一つにする事や、内部から開放的に感じる空間が心地良いと思っている。
 心地良いは難しいのである。写真で素敵な空間も、住んでみるとストレスがある空間であってはならない。住まい手がなるべく自由に過ごせ、カスタマイズされても骨太な空間である事が、心地良いという事に繋がるのではないかと考えている。
 施主と打ち合わせを重ね、最終的にモノトーンに近いコントラストで構成された内装や大理石天板のオープンキッチンが雅な印象を与えている。愛着を持ってもらえる様に長い年月で変化する日常を少しでも豊かにするきっかけを潜ませたシンプルな家である。

専用住宅
W造・F2
延床:115.03u
東京都世田谷区

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