architect:Takeshi Kobayashi photographer:Tadao Kato


 Gerrit Thomas Rietveld(ヘリット・トーマス・リートフェルト)略してG.T.R.。オランダはシュレーダー邸の設計者として私が尊敬する建築家の一人でもある。
 東京は目黒区碑文谷の計画地における環境条件と建築のプロであるクライアントとの対話からスタディーを進めるうちにメインフロアーの2階平面プランは階段を中心とした回遊性のある間取りに行きついた。クライアントは建築に対して細かな要望を持っていた事もあり、まるで家具を設計するような感覚でもあった。そのような事から私の中で元々、家具職人であったG.T.リートフェルトのシュレーダー邸が思い起こされていた。
 シュレーダー邸には大掛かりなスライド式パーティションなどにより、家の中にいろいろな仕掛けやモンドリアン的なデザインが施されているが、単なる物真似はしない主義なので、今回設計した住宅は、まったくシュレーダー邸に似ていない。しかし、メイン空間をワンルームに感じさせる事や、天空からの光の導入において影響されている部分がある。シュレーダー邸は屋上のガラス塔屋へ梯子で上がる構成だが、今回は屋上テラスへ固定階段でアプローチ出来る様にしており、その階段デザインはシュレーダー邸の階段脇に設置されているリートフェルトオリジナルの吊ランプからインスピレーションを得ている。引き戸による仕切り(建具計画)も然りである。

また、都内の住宅地における日頃から私の設計主題であるプライバシーの確保、光や風の導入に関しては今回、中央に設けられた階段が大きな役目を担っている。階段上部の屋上テラスから降り注ぐ光が階段内壁に反射する事により開放感を増幅させ、階段廻りのガラス壁で緊張感を出しながら、面として扱ったリビング正面のライムストーン貼りの壁が印象的になる事も狙っている。
 目地の幅、色、素材、面取形状やスイッチプレート内配置などなど、細部に至るまで話し合えるクライアントである。普段は「細かい部分は小林さんにお任せです。」と言って戴ける事が多い設計行為、しかし、今回のクライアントは建築のプロ。回数を重ねる度に専門用語が多くなる打ち合わせも難なく御付き合い戴けた。拘りの住宅である。
この様な設計過程から私は勝手に「G.T.R.」と呼んでいる。
「(G)頑張って(T)造った(Residence)住宅」でもある。

専用住宅
W造・F2
延床:112.66u
東京都目黒区

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