architect:Takeshi Kobayashi  photographer:Shunsuke Maruyama


 東京板橋区の住宅地に建つ木造3階建て個人住宅。敷地は幹線道路から住宅街へワンブロックほど入った場所で前面道路は車の乗り入れも難しい幅員であるが、その分、静かな場所である。下町的な街区で住宅密集地であるが駅までの間に賑わいのある商店街があったり、子供と遊べる公園も多く点在していて非常に住みやすい地域でもある。
 施主はシンプルで、どこか温かみがあり明るく、生活する上でストレスを感じない建物を望んだ。このような住宅密集地で最大の問題となるのは光の取り入れ方である。唯一開く事が可能と考えられるのは東側前面道路であるが、東側の先には幹線道路があり、開放してしまうと幹線道路沿いに建つ高層建物と道路向かいの隣接住宅からのプライバシーは著しく損なわれる可能性があるため極力開口を設ける事を避けた。しかし、他の方位も隣接建物により開放するには望ましくはない状況である。1階部分については型板ガラスの窓と道路通行人にプライバシーを侵されない様に慎重に配置した窓のみとし、2階はルーバー付バルコニー、ハイサイド窓とトップライトを用いて光を導入させる事にした。3階は幸いにも南、西側隣接建物が2階建てで遠方まで視線が抜ける窓が配置出来る。

 この光の導入方法を考えてから建ぺい率、容積率、高さ制限が許す範囲で建物を配置しボリュームの確認を試みた。シンプルな白い箱のイメージは計画当初から抱いていたイメージであるが、前面道路が狭い事と天空率によって道路斜線を緩和させる為、少し雁行させる必要があった。しかし、この雁行によって街に対してのスケール感は良くなり、見える角度によって建物表情が変わる事も良いことと考えている。建築設計を永くしていると何もない壁面デザインの探求は日常化している感覚だが、一般の人には何もない大きな単一的な壁面には耐えれる範囲がある。この感覚は忘れてはいけない感覚と思っている。屋内は白を基調として主な床材はウォールナット無垢フローリングとし家具もウォールナットの突板である。収納を非常に多く配置しており、リビングは少し大箱感がある空間であるが、その辺はあえて建築的な操作をせず住まい手に委ねるのが今回の回答である。
 施主と初めてお逢いしての会話で「駐車場は要りません」と清くお答えしていただいた時から私の中ですでに設計が出来ていた感じがしている。

専用住宅
W造・F3
延床:126.76u
東京都板橋区

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