architect:Takeshi Kobayashi  photographer:Akira Kawakami


 プライバシー&たっぷり採光。収納がたくさん有り、寛げて飽きずに住める家。そして、帰りたくなるような家。計画地を見てクライアントの希望を呪文のように繰り返し唱え、行き着いたイメージが『ポケット』。
 ポケットにはジーパンのポケット、ジャケットのポケット、スカートのポケット、バックのポケット、ビリヤード台のポケット、カンガルーのポケット、ドラえもんのポケットなどなどある。前記したポケットはいずれも、袋状の小さな物入れを意味するが、ポケットには大切な物を仕舞える機能性と高いプライバシーの性質も合わせ持っている。また、冬の寒い時のポケットの中のぬくもり、恋人のポケットに手を入れる感情など、ポケットには特別な思いを抱かせる魔力もあると思います。そんな心地良いポケットのような家をイメージして提案をした。
 クライアントは当事務所へ依頼する前はハウスメーカーなどを巡り提案を受けていたが、何か物足りなさを感じていたとその後、話してくれている。私は特に奇抜な提案とは思っていないが、シンプルなコンセプトと判りやすい建築計画に共感を得れたと思っている。
 一般的に旗竿敷地は、まわりが家で囲まれているので光の取り入れに大きな工夫が必要である。

そこで今回の計画では、南側を大きなポケットの入り口に見たてて極力広い庭とバルコニーを設けた。そのスペースに降り注ぐ光を最大限、屋内に取り込めるように大きな開口も設けている。特に庭に面したリビングの吹き抜けは、まるで大きなポケットに包まれたような心地良い感覚が生じるように演出(ハイサイド窓・シンプルな天井)が施してあり、家の奥まで光や風を運んでくれる様考えた。またプライベートな部屋(寝室や浴室洗面)を一歩出ると、2階マルチルームの床を廊下床の高さより約1.1m上げているのでリビング上部と繋がりが確保されており、家族の気配が感じられる空間にしている。また、家の中のパブリックな空間とプライベートな空間が明快なゾーニングにより配置されているので骨太な住空間が形成されており、住宅密集地であるが外部を安易に遮断する事を避け、なるべく伸びのびとした建築としている。
 クライアントが日々の忙しい毎日に身を置きながらも大きなポケット(家)に身を委ねる事が出来、ほっとする様な心地良い家となった。

専用住宅
W造・F2
延床:132.49u
東京都世田谷区

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